口腔内細菌叢と食道がんリスク
消化器・内視鏡内科口腔内細菌叢と食道がんリスクについて
マイクロバイオームとは
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マイクロバイオームとはある特定の環境で生育する細菌の集合のことです。近年マイクロバイオームと様々の疾患との関連の研究が進んでいます。 |
口腔内の菌が及ぼす影響
慢性歯周病の原因菌としては ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)やトレポネーマ・デンティコラ(Treponema denticola)があり、レッド・コンプレックス(最重要歯周病原細菌)とされており、これらの細菌と粥腫性動脈硬化、虚血性脳血管疾患、関節リューマチ、早期低体重児出産、非アルコール性脂肪性肝疾患などの関連が言われています。
Petersら※は、このレッドコンプレックスのうちの一つであるタンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)は、食道腺癌のリスクとなること、またナイセリア属や肺炎連鎖球菌属との共生が同じく食道腺癌のリスクに関与していること、同じく歯周病レッドコンプレックスのうちの一つのポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)が食道扁平上皮癌のリスクとなることを報告しています。
参考)
1) 日本細菌学会 http://jsbac.org/youkoso/porphyromonasGingivalis.html
2) ※ Petersら Cancer Res. 2017 December 01; 77(23): 6777–6787