クローン病の肛門病変について

肛門外科

肛門外科

クローン病とは

大腸及び小腸の粘膜に、慢性の炎症または潰瘍をひきおこす原因不明の疾患の総称を炎症性腸疾患といいます。クローン病は、この炎症性腸疾患の一つで、主として若年者にみられ、口腔にはじまり肛門にいたるまでの消化管のどの部位にも炎症や潰瘍(粘膜が欠損すること)ができる病気です。それらの病変により腹痛や下痢、血便、体重減少などが生じます。クローン病患者さんの30%で腹部症状に先行して肛門症状がみられるといわれています。

 

クローン病の肛門症状

クローン病の肛門症状としては、

  • 裂肛
  • 皮垂
  • 痔瘻
  • 肛門周囲膿瘍
  • 肛門潰瘍

などがあります。

それぞれの特徴

通常の病変とくらべ、クローン病では例えば

  • 裂肛であれば幅が広く深い、
  • 皮垂であれば腫脹や疼痛が強い、
  • 痔瘻であれば多発化、複雑化する傾向がある

などの特徴があります。

肛門診察でこのような所見を認めた時は、クローン病も疑い他消化管(大腸、小腸 胃)精査が必要となります。

 

(参考)第二版 クローン病 肛門部病変のすべてー診断から治療までー

厚生労働省科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業 「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(鈴木班)平成30年度分担研究報告書 別冊 (平成31年3月)