肛門周囲膿瘍について
肛門外科肛門周囲膿瘍について
肛門周囲膿瘍とは
肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)は 肛門のまわりに膿瘍(のうよう)(=化膿してできた膿の溜まり)ができる病気です。肛門陰窩(こうもんいんか)という肛門のすぐはいったところにある小さな穴から細菌が入ることにより起こることがほとんどですが、この他に感染性粉瘤や膿皮症、毛巣洞など肛門に原因がない場合もあります。
症状
症状は痛みや腫れ発熱等です。自然に皮膚がやぶれて膿が出ることもあります。
診断
視触診にて肛門周囲膿瘍の診断は可能なことが多いですが、超音波検査と併用することで診断率が向上するとの報告があります。当院でも超音波検査を用いて診断をしています。
治療
治療は排膿術(はいのうじゅつ)(膿を出す処置)ことです。
痔瘻について
膿が自然に出たり、排膿術(切開して膿を出す処置)をおこなうことで、いったん痛みや腫れの症状は軽快します。 その後に管が残ることがあります。これが痔瘻(じろう)です。
肛門周囲膿瘍のできた方の4割弱から5割くらいが痔瘻となるとの報告があります。
痔瘻は自然治癒の可能性は低く、手術が必要です。
参考文献
玉岡ら 日本大腸肛門病会誌 77:279-285,2024