肛門の内(うち)と外(そと)
肛門外科痔の軟膏の塗布について
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患者様からよく受ける軟膏についての質問
患者さんに、
“痔の軟膏は肛門の内側にぬればいいのですか?外側にぬればいいのですか?”
と質問されることがよくあります。
痔疾患に用いられる軟膏の添付文書の“用法“のところに
“内痔核には、肛門内に注入する。裂肛、外痔核には、患部に塗布又は注入する。”
といった記載がされていることから、患者さんが薬局で薬剤師から
“医師に内側にぬるようにいわれましたか?外側にぬるようにいわれましたか?”
と尋ねられることがあります。
肛門(肛門管)の解剖学
肛門(医学的には肛門管といいます)の解剖のお話をします。
臨床的には肛門管は、肛門を締める筋肉がついている一番口側の部位から、おしりのお肉を左右に思いっきりひっぱってみえる穴の縁(肛門縁)までの間を言います。
肛門管の口側を裏打ちする直腸粘膜と、肛門縁側を裏打ちする肛門上皮の間は歯状線というギザギザの境目があります。
歯状線より口側の直腸粘膜にできる内痔核(図参照)では、内側(より直腸の奥の方)に注入していただき、 |
歯状線より肛門縁側にできる外痔核や裂肛(図参照)では 肛門上皮に病変があり、痛みを伴うことが多いので痛いところに塗布してください。とご説明しています。 |
参考 肛門管の解剖 痔核・裂肛・痔瘻の病態図 黒川彰夫監修 (2016年3月天藤製薬株式会社発行)