便秘の薬 IBAT阻害剤(胆汁酸の話)

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便秘の薬について

胆汁酸(たんじゅうさん)とは

胆汁酸は胆汁の成分の一つで、脂肪の吸収、腸内細菌叢や腸管免疫の維持など、生体内で非常に重要な働きをしています。肝臓でコレステロールから作られ十二指腸に分泌され、回腸(小腸の肛門に近い部位)でほとんど吸収され 門脈という肝臓へいく血管をとおして肝臓にまたもどるという循環(腸肝循環)をしています。

 

IBAT(胆汁酸トランスポーター:Ileal Bile Acid Transporter

この胆汁酸の再吸収には、胆汁酸と結合するIBATという物質がかかわっています。 IBATが機能しないと胆汁酸の再吸収がうまくいかず下痢をすることがわかっています。胆汁酸が小腸へ吸収されず、大腸へいくと大腸の粘膜からの水分分泌や大腸の動きを促す作用があるためです。これを応用してIBATの働きを抑える薬 (IBAT阻害薬)が慢性の便秘症の治療にもちいられています。IBAT阻害薬は、このほかにも胆汁うっ滞による皮膚のかゆみや、非アルコール性脂肪肝の治療への応用も研究がすすんでいるようです。

(Samer, Hanns-Ulrich. Front. Pharmacol., 21 August 2018)